無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
10. ニセモノ令嬢からのプロポーズ ◆ グレッグSIDE ◆
◆ グレッグSIDE ◆
(今日も俺のレイラは、社交界の花だったな……)
夜会からの帰り道、ガタゴトと馬車に揺られながら、目の前にいる光り輝くような美しい婚約者を見つめる。艷やかな銀糸の様な髪はキラキラと光り、薄化粧にもかかわらず唇はほんのり色づき、隠しきれない色香が漂っていた。
可愛いレイラの「帰りたい」というおねだりに交換条件を出し、早々に夜会から帰ることにしたが、すでに彼女は眠ってしまった。そっと彼女の隣に座り直し、肩を抱き寄せる。ちょっと白目をむいているが、彼女のすうすうと可愛らしい寝息を聞くだけで幸せだ。
(俺がデザインしたドレスも、怖いくらい似合っている……!)
胸元にゆったりとしたドレープを施したこのドレスは、月の女神をイメージしたものだ。光沢感のある濃紺のシルクに、小さな宝石を星のように散りばめた品の良いドレス。なめらかに体に沿うそのドレスは、彼女のスタイルの良さを際立たせ、会場中の視線を集めていた。