無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
(いや、集めすぎてしまった……!)
挨拶する人の列が途切れるやいなや、まわりの男どもはレイラをジロジロと見て、隙あらばダンスに誘おうとしていた。正直彼女が帰りたがって、ホッとしている。
もちろん俺という婚約者がいるのに他の男がレイラを狙うのは、自分の力不足だとわかっている。騎士団の先輩達も先日の武術大会で俺が優勝したから、諦めてくれたようなものだ。
今回まだ狙ってるのは騎士以外の連中だ。女性に甘い言葉をこれでもかと囁いて口説くタイプで、俺よりも高位貴族だから遠慮がない。
しかし彼らは知らない。レイラにとって普通の女性が好むデートや宝石などのプレゼントが、逆効果になることを。だからレイラと接触しては撃沈し、愛想笑いでかわされていた。