無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「反対にグレッグはどういう状況なら、やりがいを感じられるの?」
「う〜ん……誰かの役に立った時かな? 困ってる人を助けるとか」


 レイラに質問されて初めて仕事へのやりがいを意識したが、自分のしていることが誰かの役に立っていると実感したいだけなのかもしれない。俺の答えを聞いた彼女は、「そうねえ……」と呟き、ティーカップを置いた。飲みきって空になっている。俺は当たり前のように、彼女のカップにおかわりの紅茶を注いだ。


「そういったことでやりがいは感じられるかもしれませんが、そうなると誰かに問題や犯罪が起こる前提になるわね」
「……たしかにそうだな」


 考えたこともなかった。俺が活躍したいと思う状況は、誰かが苦しんでいないと成立しない。そういう角度で状況を見ていなかったので、思わず言葉に詰まってしまう。

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