無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「騎士の訓練は嫌いなの?」
「いや、趣味の合間に体を動かすと、いい気分転換にはなるな」
「軸が趣味なのは気になりますが、それで良いじゃないですか」
「えっ?」
良くないのだが。やはりレイラは女性だから、わからないのかもしれない。そう思っていると、彼女は俺が作ったくるみクッキーを食べ、「うん! 美味しい」と言って微笑んだ。
「この国の騎士団は、諸外国にも強さが知れ渡っていますでしょう? 強ければ強いほど、戦わずとも国の防衛に成功しているのだと思います。毎日の訓練をしっかりやることで、国民の平和を守っておりますから、誇りに思ってくださいませ」
「戦わなくても、国を守っているか……」
「だって騎士団がいない国なんて、戦争や害獣が怖くて住めませんわ」
「それもそうだな」
「それに騎士の方が領地や街を見回りしてくださるから、安心して暮らせるんです。国内の治安が悪かったら、さすがの私ものんきに昼寝はしてられないでしょう」