無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
(中身は女の子みたいだけどね)
それにしても挨拶する人が途切れると、どっと疲れが出てくるわね。私はグレッグの腕をトントンと叩き、顔を近づけ小声で話しかけた。
「ねえ、もう帰ってはダメかしら?」
「来てから半刻も経ってないと思うが」
「そう……?」
他の令嬢は着飾って社交するのが好きらしいけど、私はコルセットが苦しいしおしゃべりも好きじゃない。だから夜会って苦手だわ。時間が過ぎるのがやけに遅く感じて、本当に退屈。まだ帰れないと思うと、ベッドが恋しくてしょんぼりしてしまう。
「明日、今話題の舞台に付き合ってくれたら、帰ってもいいぞ」
「付き合います」