無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

 夜会から開放され家に帰れる喜びで、思わずとびっきりの笑顔になってしまう。本当に私をこんなに理解してくれるのは、グレッグだけだわ! ああ! この感謝の気持ちを表すためにも、明日はどこにでも付き合ってあげましょう。私は幸せな気持ちで、グレッグと2人で早々に夜会を後にした。おやすみなさい。ぐう……


 しかし次の日の朝起きると、私の気持ちはどんよりしていた。


 はあ……観劇の約束で夜会から開放されたまでは良かったけど、いざ当日になると行くのが面倒になる私の性質はどうにかしたいわね。


 私はなにより予定がない日が大好きなのだ。お茶会の予定、人が訪ねてくる予定、それらがまったく無く、家でぼうっとしていたい。時々庭を散歩したり、突然キッチンに入って今日の夕食のメニューを聞くのも楽しい。


「はあ、おっくうだわ」


 でも昨日約束したんだから行かなきゃね。それに行けば楽しい時もある。そう気持ちを切り替えて、しぶしぶ着替えているとグレッグが迎えに来た。
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