無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「今日はありがとう。さあ行こうか!」


 メイド達がほうっとため息をつき、うっとりとグレッグを見ている。グレッグは艷やかな金髪をキラキラとなびかせ、私をエスコートする。グレッグはなによりロマンティックな事が大好きなので、こういった紳士的な行動を取ってる自分が大好きだ。まあ似合ってるし、本人も幸せそうなので特に問題はない。


 劇場についてからもエスコートは完璧で、周りからまた理想のカップルとして憧れの目で見られていた。席に着き演目を確認すると、やはり女性向けの恋物語だ。私はまったく興味がないけど、グレッグは食い入るようにパンフレットを見ている。


「この後に行ってみたいカフェがあるんだが、行かないか?」
「帰りたいです」
「明日カレン嬢とのお茶会があるだろう。付き合ってくれたら、話題になりそうな事をまとめてやるが」
「付き合います」
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