意地悪王子様のホワイトデー大作戦
「……好きだけど」

「僕も好きだよ。僕さ、実花子と付き合ってから、自分がどんどん変わっていくの感じててさ」

「千歳?」

「こんなに、僕って夢中で人を好きになるんだなって知らなかった。気づけば、暇さえあれば実花子のことばっか考えてるし、会いたいし、実花子が、他の男と仕事で話すだけでも、嫉妬するしさ」

「……そんなの、私もだし。千歳には、言ったことないかもだけど……千歳が他の女の子と仕事で話してるの見かけるだけで、モヤモヤするし、星川麻美や、野良猫と一緒に仕事してるのだって、本当は羨ましいし」

僕は、思わず口元が緩む。知らなかった。
実花子が、そんなコト思ってくれてるなんて。

なんて言えば、僕の心の中の全てが伝わるんだろう。僕は、もう実花子の虜だ。実花子しかいらない。それは、現在も未来も決して変わらない。僕の未来の延長線上には、ずっと実花子にいてほしい。

「実花子、これからも僕とずっと一緒にいて欲しい。明日も明後日も、来年も10年後も。僕、実花子がシワシワのおばあちゃんになっても、ずっと大好きだから」

僕は、実花子の目尻から転がっていく涙の雫を、一粒一粒掬っていく。そして、僕はポケットから取り出した小さな箱を、そっと開けると、実花子に差し出した。


──「僕と結婚して?」
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