意地悪王子様のホワイトデー大作戦
車に実花子を乗せて辿り着いたのは、郊外にある、イルカショーが人気の水族館だ。今日は、平日ということもあり、割と空いている。
僕が、シートベルトを外せば、すぐに実花子もベルトを外し、車外に降りた。
「わぁ、楽しみ」
駐車場から、青と赤を基調とした、色とりどりの魚が描かれている水族館の外観を見上げながら、実花子が、嬉しそうに僕を振り返った。
「ずっと来たかったんだよね」
心地よい春風が、実花子のベージュの髪を巻き上げて、甘い香りが鼻を掠めていく。
「実花子、はい」
差し出した、僕の左手を、実花子がいつものように、ぎこちなく右手を重ねる。思わず、僕はクスッと笑った。
「な、何よっ」
「いや、実花子全然慣れないなって」
「恥ずかしいものは恥ずかしいのっ」
「僕と手を繋ぐより、恥ずかしいコト、ベッドでしてんのにね」
アーモンド型の瞳をこれでもかと見開くと、実花子が、ぷいっとそっぽを向いた。
「そっぽ向いても、僕、絶対手離さないから、どこにもいけないよ」
「もう、やめてっ……何にも言わないで!千歳のばかっ」
僕は、口角を上げると、実花子の指先に自身の指先を絡めて、エントランスを抜ける。
事前に購入しておいたチケットのQRコードを入り口でかざせば、すぐに僕達の目の前は、まるで海の中を歩いているかのように、蒼一色の世界が広がった。
僕が、シートベルトを外せば、すぐに実花子もベルトを外し、車外に降りた。
「わぁ、楽しみ」
駐車場から、青と赤を基調とした、色とりどりの魚が描かれている水族館の外観を見上げながら、実花子が、嬉しそうに僕を振り返った。
「ずっと来たかったんだよね」
心地よい春風が、実花子のベージュの髪を巻き上げて、甘い香りが鼻を掠めていく。
「実花子、はい」
差し出した、僕の左手を、実花子がいつものように、ぎこちなく右手を重ねる。思わず、僕はクスッと笑った。
「な、何よっ」
「いや、実花子全然慣れないなって」
「恥ずかしいものは恥ずかしいのっ」
「僕と手を繋ぐより、恥ずかしいコト、ベッドでしてんのにね」
アーモンド型の瞳をこれでもかと見開くと、実花子が、ぷいっとそっぽを向いた。
「そっぽ向いても、僕、絶対手離さないから、どこにもいけないよ」
「もう、やめてっ……何にも言わないで!千歳のばかっ」
僕は、口角を上げると、実花子の指先に自身の指先を絡めて、エントランスを抜ける。
事前に購入しておいたチケットのQRコードを入り口でかざせば、すぐに僕達の目の前は、まるで海の中を歩いているかのように、蒼一色の世界が広がった。