意地悪王子様のホワイトデー大作戦
「僕に、実花子が言ってくれたコトも?」

僕は、ようやく最近、実花子に確認したくて堪らなくて、でも言い出せなかったことを口にだした。

「え?」

実花子が、目を丸くして、キョトンとしている。

(やっぱなー……)

バレンタインデーの夜、ベッドの上で散々実花子を食べ尽くして、気を失わせたのは僕だけど、全く覚えてないとは寂しいかぎりだ。 

「え?千歳、拗ねてるの?」

僕は、実花子の返答をある程度予想はしていたけれど、気づけば拗ねた顔をしていたみたいだ。

「拗ねて……るかもしんないし、違うかもしんない」

「もー……拗ねてるじゃない」

実花子の困った顔を見て、僕はすぐに、にんまりとする。

「え?何よ、今日の千歳、へんっ」

「実花子が、僕のコトを考えて、僕のコトだけ見てるのが嬉しかったから。違わない?」

実花子の綺麗な瞳を見つめれば、僕の顔だけが、小さく映り込んでいる。

「まー……えと、その……多分あってるけど……」

「いこ、あと10分で始まるから」

僕は、手元の時計を見て、実花子と絡めた指先に力を込めると、実花子が一番観たがっていたイルカショーの会場へと向かった。
< 6 / 14 >

この作品をシェア

pagetop