独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
『でも気をつけなさいよ。意地の悪い親族の目があるんだし、独身男性とレッスンなんてと変な噂を流される可能性だってあるんだから』



『ありがとう。でも富田さんには近々婚約する方がいらっしゃるし、お義母様が親族の方々には説明してくださったから』



そもそも義母が富田さんを抜擢したのは、私に敵意を抱いていない同年代の親族に引き合わせようと配慮してくださったからだ。


富田さんには、後日自身の婚約予定の女性を紹介するとも言われている。



『瑛以外に話せる、同性、異性の親族の友人がいたほうがいいでしょう? 私もずいぶん助けられたから……』



義母の優しい心遣いを思い出して、心が温かくなった。



『そう……優しいお姑さんでよかったわね』



『うん、でも今はレッスンを少しお休みしているの』



少し前に私の体調を心配した義母が連絡をくださり、レッスンは無理のない範囲でと気遣ってくださった。

さらに本家への来訪は、瑛に内緒にして完璧にしきたりや作法を身に着けた彩萌さんを後日披露してびっくりさせちゃいましょう、と楽しげにおっしゃっていた。

富田さんは義母の提案に異を唱えていたが、押し切られていた。

レッスン自体は喜んでいた彼だが、あのときは本家に出入りはしていなかった。



これ以上踏み込むなと言われたらどうしよう?



考えるたびに、心が重く沈んでいく。
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