独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「……なにか悩まれていますか?」
富田さんの声にハッと我に返る。
今日はホテルのティーサロンでレッスンを久々に再開していた。
レッスン内容はテーブルマナーなので、個室は利用していない。
義母は用事があり、一時間ほど遅れると連絡があった。
「いえ、すみません」
「里帆さんの件なら気にしないで大丈夫ですよ。瑛くんは奥様を大切に想われています」
胸中を言い当てられ、目を見開く私に富田さんは柔らかく微笑む。
「僕がレッスンを担当すると報告したとき、絶対に密室にふたりきりになるなと厳命してきた人ですよ」
「え……?」
初めて知る情報に瞬きを繰り返す。
「そんなに妻が心配なら毎回同席するか、自分が教えればいいし、事情をすべて話せばいいのに不器用な後継者ですよね、本当に」
「あの、それはどういう意味ですか?」
「本人に直接聞いてください。それではおしゃべりはやめて続きをしましょう。手はここに、このように置いてください」
少し失礼しますね、と断ってから富田さんは私の手に触れて、位置を修正する。
疑問が頭の中を駆け巡るが、必死で気持ちを切り替えて目の前の課題に取り組んだ。
まさか、この光景を見られているとは思いもせずに。
富田さんの声にハッと我に返る。
今日はホテルのティーサロンでレッスンを久々に再開していた。
レッスン内容はテーブルマナーなので、個室は利用していない。
義母は用事があり、一時間ほど遅れると連絡があった。
「いえ、すみません」
「里帆さんの件なら気にしないで大丈夫ですよ。瑛くんは奥様を大切に想われています」
胸中を言い当てられ、目を見開く私に富田さんは柔らかく微笑む。
「僕がレッスンを担当すると報告したとき、絶対に密室にふたりきりになるなと厳命してきた人ですよ」
「え……?」
初めて知る情報に瞬きを繰り返す。
「そんなに妻が心配なら毎回同席するか、自分が教えればいいし、事情をすべて話せばいいのに不器用な後継者ですよね、本当に」
「あの、それはどういう意味ですか?」
「本人に直接聞いてください。それではおしゃべりはやめて続きをしましょう。手はここに、このように置いてください」
少し失礼しますね、と断ってから富田さんは私の手に触れて、位置を修正する。
疑問が頭の中を駆け巡るが、必死で気持ちを切り替えて目の前の課題に取り組んだ。
まさか、この光景を見られているとは思いもせずに。