独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
9.嘘と綻び
朝霞さんの帰国から瑛さんの帰りは、日増しに遅くなっていった。
けれど詳細な事情は教えてもらえず、条件という盾が邪魔をして詮索できない。
彼の口数は、忙しさによる疲れも相まってか、ぐんと少なくなった。
余計な事柄まで尋ねてしまいそうな私は、ますます気安く話しかけられなくなった。
入浴を終えた木曜日の夜、寝つけず寝室で文庫本を読んでいると、瑛さんが帰宅した音が微かに聞こえた。
起き上がり、リビングに向かうとなぜか不機嫌そうな視線を向けられた。
「お、お帰りなさい」
「ただいま。なんでこんな時間まで起きてる?」
「少し、寝つけなかったから」
なぜこんな詰問口調なのか、わからない。
彼は長い指で緩慢にネクタイを緩め、鬱陶しげに長めの前髪をかき上げる。
たったそれだけの仕草なのに、見惚れるほど色香がある。
「俺は離婚する気はないし、妻の不貞は許さない」
唐突に言われて面食らう。
……なにを言っているの?
「離婚、不貞って……」
戸惑う私に剣呑な視線を向け、自身のスマートフォンを取り出す。
なにやら操作して、私に液晶画面を見せる。
【梁瀬副社長夫妻、やはり離婚は秒読みか? 妻の昼間の密会!】
派手な見出しに息を呑む。
「なぜ、一貴とふたりきりで会っていた? 手まで握って……!」
鋭く睨みつけられ体が強張るが、責められている内容が理解できない。
「なんの、話?」
「とぼけるな」
怒声に肩がビクッと跳ねる。
けれど詳細な事情は教えてもらえず、条件という盾が邪魔をして詮索できない。
彼の口数は、忙しさによる疲れも相まってか、ぐんと少なくなった。
余計な事柄まで尋ねてしまいそうな私は、ますます気安く話しかけられなくなった。
入浴を終えた木曜日の夜、寝つけず寝室で文庫本を読んでいると、瑛さんが帰宅した音が微かに聞こえた。
起き上がり、リビングに向かうとなぜか不機嫌そうな視線を向けられた。
「お、お帰りなさい」
「ただいま。なんでこんな時間まで起きてる?」
「少し、寝つけなかったから」
なぜこんな詰問口調なのか、わからない。
彼は長い指で緩慢にネクタイを緩め、鬱陶しげに長めの前髪をかき上げる。
たったそれだけの仕草なのに、見惚れるほど色香がある。
「俺は離婚する気はないし、妻の不貞は許さない」
唐突に言われて面食らう。
……なにを言っているの?
「離婚、不貞って……」
戸惑う私に剣呑な視線を向け、自身のスマートフォンを取り出す。
なにやら操作して、私に液晶画面を見せる。
【梁瀬副社長夫妻、やはり離婚は秒読みか? 妻の昼間の密会!】
派手な見出しに息を呑む。
「なぜ、一貴とふたりきりで会っていた? 手まで握って……!」
鋭く睨みつけられ体が強張るが、責められている内容が理解できない。
「なんの、話?」
「とぼけるな」
怒声に肩がビクッと跳ねる。