独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「もうひとつ確認する……本家に、なにをしに行っている?」



「え……?」



鋭い眼差しに困惑する。



「ここ最近、本家を訪れているらしいな。なぜ本家に行く? 最初に関わるなと告げただろ?」



「あの、それはお義母様から?」



「母は関係ない。質問に答えろ」



厳しい物言いに、ビクリと肩が揺れる。

なぜここまで怒っているのだろう。

お義母様と、内緒にしてびっくりさせましょうと戯れにした約束が、頭をよぎる。

特段隠したい出来事ではないが、こんな険悪な状況で口に出したくない。



「言えないのか?」



「なんでそんなに、怒っているの?」



「この忙しいときに、妻が幾つも隠し事をしているからな。本家でも一貴とふたりきりで過ごしているのか?」



嫌味たっぷりの返答と質問に、胸が軋んだ。



理由も真実も全部話したのに、どうしてそんな言い方をするの?
 


帰ってきてすぐ、不機嫌さをぶつけられ、理不尽な振るまいに段々と腹立たしくなる。



やましい行いなどしていないのに、なぜ確認もせず一方的に責めるの?



そもそも最初に隠し事をしたのは、瑛さんだ。



「瑛さんだって、私に話していない出来事があるでしょう?」



「……なに?」



「朝霞さんについて、全然教えてくれない」



「お前に関係ないからだ。この前もそう言っただろ?」



呆れたような様子で告げられ、胸の奥が軋む。



“関係ない”と線引きされる辛さがわからないの?
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