独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
これまで以上に険悪で拗れても、瑛さんは私を抱きしめて眠る。

続けられる行為が、胸をきつく締めつけた。

あの日からずっと、頭の中では同じ質問が繰り返されている。



……本当は私が、邪魔なんでしょう? 



朝霞さんとの仲を探られたくないから怒ったの? 



離婚しないのは、私が妊娠しているから? 



世間体を気にして?



瑛さんの本心も答えもわからず、思考はどんどん暗くなっていく。

ほんの少ししかなかった自信は、今ではすり減って見る影もない。

朝霞さんの帰国を待たず、私と早々に入籍したのを後悔しているのだろう。

だって朝霞さんがなにより彼との結婚を望んでいるのだ。



『――羨ましいわ。私だって結婚したかった』



脳裏に焼きついて、剥がれない台詞。

ふたりが結婚できないのは私がいるから。

想いあっているのに、叶わない。



これから先ずっと、惹かれ合うふたりをそばで見続けなければいけないの……?



……私の居場所はあるのだろうか。



瑛さんに禁止され本家を訪ねられず、富田さんには迷惑をかけた謝罪を直接伝えたかったができそうになく、義母を通して伝えてもらった。

義母は私を心配してくれていた。
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