独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
ぎこちなさと戸惑い、不安を抱えて、必死に毎日を営む。

残暑厳しい九月初旬、仕事帰りに郵便ポストを確認すると、日菜子さんから私宛の手紙が届いていた。

訝しみながらも開封すると、【お茶会のお知らせ】という招待状が入っていた。

どうやら日菜子さんが幹事らしい。



【以前は男子会でしたので、今回は女子会になります。皆様にお会いできるのを楽しみにしております】



余白に記された文章を読み、そんな括りもあるのかと独り言ちる。



「主催は青年淑女会……」



思わず声が漏れる。

この主催者からの手紙は過去にも一度届いた。

初めて梁瀬家に足を踏み入れて、すぐくらいの頃だ。

その際に、瑛さんがこの会について教えてくれた。

分家の若年層世代の集まりで、定期的に情報交換を兼ねた食事会を開催しているらしい。

参加は自由だが、暗黙の了解でほぼ皆が足を運ぶそうだ。

参加資格に明確なものはなく、瑛さんや朝霞さんも参加経験があるという。



『結婚など新しい親族が増えたときの顔見せで、開催される場合が多い。今回はお前が婚約者になったからだろう。とはいえ、病み上がりなんだから参加するなよ』



懐かしい説明を思い出す。

あの頃は絶対に恋などしないと思っていたのに。
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