独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
ふう、とひとつ重い息を吐き、瑛さんに参加確認をするためスマートフォンを手に取りかけて、やめた。

言えば反対され、また怒らせてしまう。

日菜子さんにはあまり会いたくないが、現在の世間の、分家の方々の反応や気持ちを知りたい。

守られるばかりではなく、少しでも立ち向かえるようになりたい。

この会は願ってもないチャンスだ。


自分を鼓舞して、そっと僅かに膨らんできたお腹を撫で、もう一度招待状を読む。

開催は、来週末の土曜日の午後二時から。

この日、瑛さんは札幌に出張で帰りは午後七時近い。

黙って出かけても、バレないだろう。

私に関心があるとは思えない。

深夜に言い争ってからは、日々の行動すら質問されなくなった。

暗い気持ちに沈んでしまう前に、スマートフォンでQRコードを読み込み、出席の返事を済ませた。


食事会当日は快晴で、気温もとても高かった。

瑛さんは予定通り出張に向かい、私の食事会出席にはもちろん気づいていなかった。
< 121 / 174 >

この作品をシェア

pagetop