独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「――新保さん?」
突如旧姓を呼ばれ、ハッとする。
「まあ、里帆さん!」
日菜子さんの喜びの混じった声にのろのろと顔を上げると、眉根を寄せた朝霞さんがすぐ近くに立っていた。
「大丈夫ですか? 顔色がとても悪いわ」
朝霞さんに直接の面識はないが、彼女の面差しはネットニュースなどで何度も見ていたため知っている。
ずいぶん前にぶつかった相手も、彼女で間違いない。
でも朝霞さんは、なぜ私の顔を知っているのだろう。
「里帆さん、お久しぶりです。急にいなくなられて心配していましたの。こちらにいらっしゃっているならぜひランチをご一緒したかったですわ。そうだわ、今からでも……」
「――時芝さん、少し黙っていて。私は今、新保さんとお話しているの」
一方的にまくし立てる日菜子さんに、朝霞さんがぴしゃりと言い放つ。
日菜子さんは朝霞さんの冷たい対応に呆然としていた。
「新保さん、どこか苦しいところとかありますか?」
「あ、いえ……すみません、平気です」
「無理なさらないほうがいいわ。少し休みましょう。瑛に連絡を……」
「や、やめてください!」
思わず大きな声が出た。
朝霞さんは私の反応に、一瞬驚いたように目を丸くした。
瑛さんに連絡してほしくない。
今はあの人の責めるような視線と、口調に、対峙できそうにない。
突如旧姓を呼ばれ、ハッとする。
「まあ、里帆さん!」
日菜子さんの喜びの混じった声にのろのろと顔を上げると、眉根を寄せた朝霞さんがすぐ近くに立っていた。
「大丈夫ですか? 顔色がとても悪いわ」
朝霞さんに直接の面識はないが、彼女の面差しはネットニュースなどで何度も見ていたため知っている。
ずいぶん前にぶつかった相手も、彼女で間違いない。
でも朝霞さんは、なぜ私の顔を知っているのだろう。
「里帆さん、お久しぶりです。急にいなくなられて心配していましたの。こちらにいらっしゃっているならぜひランチをご一緒したかったですわ。そうだわ、今からでも……」
「――時芝さん、少し黙っていて。私は今、新保さんとお話しているの」
一方的にまくし立てる日菜子さんに、朝霞さんがぴしゃりと言い放つ。
日菜子さんは朝霞さんの冷たい対応に呆然としていた。
「新保さん、どこか苦しいところとかありますか?」
「あ、いえ……すみません、平気です」
「無理なさらないほうがいいわ。少し休みましょう。瑛に連絡を……」
「や、やめてください!」
思わず大きな声が出た。
朝霞さんは私の反応に、一瞬驚いたように目を丸くした。
瑛さんに連絡してほしくない。
今はあの人の責めるような視線と、口調に、対峙できそうにない。