独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「瑛さんと、私が結婚しているので」



「なぜ新保さんが瑛と結婚していたら、嫌なの?」



「だって、瑛さんと一緒にいられませんよね……?」



「いないつもりで婚約破棄したんだけど」



眉根を寄せられ、混乱する。



なんで、そんなに平然としているの?



「……どうも話が嚙み合っていない気がするんだけど……もしかして、私が瑛を好きだとか思ってる?」



遠慮がちにうなずくと、朝霞さんが額に手を当ててガクリと項垂れた。



「瑛ったら……どんな説明をしたのよ……!」



「あの、朝霞さん?」



「変な誤解をさせてごめんなさい。私たちはお互いを幼馴染以上には思っていないわ」



手を外し、きっぱりと言い切る姿は嘘を吐いているようには見えなかった。



「でも、副社長室で……」



言いかけて、ハッとする。

これでは盗み聞きを白状しているのも同じだ。



「副社長室って……ああ、お詫びとアピールに本社に行ったときの話?」



「すみません。秘書課からの帰りに、聞いてしまったんです」



「いいのよ。あれはアピールだって言ったでしょ? そう、あのとき新保さんが……」



あっけらかんと返答した朝霞さんだったが、急に険しい表情を浮かべる。



「ひょっとして……あのとき私が結婚を羨ましいって言ったのも聞いた?」



「はい……」



私の返答に、朝霞さんは困ったように額に片手を当てた。
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