独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「一貴にも言われたの。夢は応援するが新保さんに迷惑をかけるなって……自分勝手な真似ばかりしてごめんなさい」



私はもう一度ゆっくりと首を横にふる。

富田さんの優しさは有り難いが、迷惑をかけられたとは思っていない。

むしろ瑛さんに出会えたのは幸運だったから。

瑛さんの幸せを願って、叶うなら一緒に幸せになりたいと思っていた。

でも、もう彼の気持ちは私に向いていない。



「そうですね……でも私では瑛さんの幸せを叶えてあげられないので」



「ちょっと待って、どういう意味? 瑛は幼い頃から、会社を継ぐことだけを目標にしてきたの。だから私は、せめて瑛との約束を守るために協力したかったの」



今度は私が首を傾げる番だった。

話の内容がよく理解できない。



「ええと、それは……好きな人と結婚するっていうお話ですよね?」



これまでの説明を思い出しながら、尋ねる。



「そうよ。だから時芝の令嬢に、下手な横やりを入れられるとかありえない。瑛が心から望んだ女性を傷つけるなんて許せないわ」



「瑛さんが……望んでいる人は朝霞さんですよね?」



確認する声が、震えそうになった。



「は?」



ぽかんとした表情を一瞬浮かべた朝霞さんは、すぐに眉間に皺を寄せた。



「誤解よ! 瑛の想い人は私じゃないわ。まさか新保さん、ずっとそう思っていたの……?」



うなずくと、彼女は大きな息を吐いた。



「ありえないわ。なんでそんな勘違いを?」



問われて、ぽつりぽつりとこれまでの経緯を話した。

朝霞さんの帰国後、瑛さんの態度が変わり、関係ないと線引きされた件、本家に近づくなと言われたこと……これまで答えが出ず悩んでいた想いを吐露する。
< 135 / 174 >

この作品をシェア

pagetop