独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
『どういう意味? 新保さんが行方不明なの?』



意味がわからない、と口にする里帆に現在の状況を手短に話す。

すると、思い切り𠮟られた。



『身重の妻に心労をかけるなんて最低ね、自業自得よ。さすがの新保さんも愛想が尽きたんじゃない』



「悪いと思ってるから、今必死に捜してるんだ」



『それなら自分で駆け回って捜しなさいよ。なにかあったらどうするの?』



言われなくても嫌というほど理解している、と言い返したい気持ちをグッとこらえる。

原因は俺なのだから、悪態をついている場合じゃない。



「……頼む、手を貸してくれ。彩萌を見つけたい。失いたくないんだ。アイツのいない人生はもう考えられない」



『言う相手を間違えてるわね。でも、いいわ。瑛からの頼みごとなんて初めてだし、ほかでもない新保さんのためだもの。新保さんには幸せになってもらいたいの』



里帆は彩萌と直接の面識はないに等しい。

けれど彩萌を一方的に自分の都合に巻き込んで人生を変えてしまったと、ずっと気にしていた。

そのため直接謝罪したいと何度も言われていたが、彩萌の体調や状況を考え、断り続けていた。

ただでさえ、マスコミに面白おかしく騒がれていい迷惑だった。

彩萌にこれ以上余計な心労をかけたくないのはもちろんだが、やっと通じ合ったお互いの気持ちを拗らせたくなかった。
< 147 / 174 >

この作品をシェア

pagetop