独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「頼むから、黙って出ていかないでくれ。勝手だとわかっているが、俺の目の届かないところにいると思うと、平常心じゃいられない」



早口で告げ、髪を撫でられる。



「だって私、邪魔じゃ……? 一緒にいていいの……?」



触れる高めの体温と、直接的な物言いに気持ちが昂り、本音が漏れる。

朝霞さんと約束したとおり、今は逃げずに話し合いたい。



「当たり前だ! お前は俺の妻で、俺のすべてだ」



私の両頬を大きな手で包み込み視線を合わせた瑛さんが、強い口調で言い切る。

耳に響いた言葉に、甘く心が痺れた。



「本当に……?」



好きでいていいの?



あなたがくれた『好き』は私と同じだと自惚れていい?



一度は、無理やりあきらめようとした。

でもできなかった。

好きで、大好きで、どうしても想いを捨てられなかった。

私の生涯において、これほど好きになる人は、きっともう現れないだろう。


話を聞きたいのに、謝りたい事柄もたくさんあるのに、胸が詰まってうまく声を発せない。

視界がどんどん滲んで、思わず唇を噛みしめかけたら、長い指に阻まれた。

追いかけるように、ふわりと唇が柔らかいもので塞がれる。



「……傷つけるなと言っただろ?」



優しいキスを落とした瑛さんは、親指で私の下唇に触れる。

突然の事態に反応できずにいると、彼が私の体を解放し、私の左手の指に自身の指をからめてきた。
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