独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「続きは、部屋でしよう」



指先に口づけられ、ピクリと肩が揺れる。

妖艶な眼差しに鼓動がどんどん速くなる。



……こんなエントランスの、誰が見ているかわからない場所で私ってば……!



「ご、ごめんなさい。あの……」



「謝るな、怒ってるわけじゃない。可愛い表情を誰にも見せたくないだけだ」



さらりと言われて、目を見開く。

甘い台詞に、どう返答すべきかわからない。

一気に熱くなった頬を隠すようにうつむく。



「か、可愛いって……まさか」



「自覚がないのか? 俺はずっとお前を独り占めしたいと願っていた」



甘い言葉の連続に、鼓動が暴れっぱなしだ。

呼吸が浅くなり、思わず深呼吸を繰り返す。



「瑛さんは……朝霞さんが一番なんだと思ってた」



「誤解だ。里帆はただの幼馴染だし、そもそも恋愛感情はない」
 


顔を上げて、と穏やかな声で促される。



「そのあたりも含めて、全部説明させてくれ。お前がいなくなるのは耐えられない」



空いているほうの手で頬を撫でられうなずく。

すると、彼はホッとしたように眦を下げた。


その後、エレベーターに乗り、自宅に着くまでの間ずっと、手は離されなかった。

ほんの少し前までは部屋が冷たくて苦手だったのに、今は違う。

玄関を抜け、廊下を手を引かれて歩く。

無言のままリビングルームに入ると、彼は私をソファの真ん中にゆっくり座らせた。

そして私の正面で床に膝をつけ、私の両手を握りしめた。
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