独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「……彩萌、起きて。髪を乾かそう。風邪をひく」



自分でも驚くほどの甘い声でささやくと、長いまつ毛が少し震える。



「彩萌?」



こんなにも穏やかに、誰かの名を呼ぶ日がくるなんて想像もしなかった。

頬にキスを落とすとくすぐったいのか、少しだけ瞼が持ち上がる。



「起きて、髪を乾かすから」



そっと背中に腕を差し入れて半身を抱き起すと、素直に体重を預けてくる。

その仕草、温もり、すべてに心が満たされる。



ああ、本当に。



ただそばにいるだけで、幸せだ。



甘い胸の痛みはまだ慣れなくて戸惑ってしまう。



「瑛、さん?」



ほんの少し掠れた声に、眉尻が下がる。



「乾かし終えたら一緒に眠ろう」



そばに置いていたドライヤーを手に取り、話しかける。



「……うん」



ふわりと花が綻ぶような笑顔を見せる妻。



お前を抱きしめて眠るのが、なによりも幸せなのだといつ伝えようか?

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