独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「早く帰ってきてくれてありがとう」



今はちょうど午後六時半を過ぎたところだ。



「先週は遅かったからな」



相変わらずご機嫌な息子をあやしながら、返答する。



「瑛さんは本当にすごいね。通常の業務も完璧にこなして、変革も着実に行っているもの」



まずは本社からと始めた勤務体制の変革は好評で、現在はグループ子会社にも少しずつ導入されているらしい。

今日のお昼に芙美から連絡があり、教えてもらった。



「そうか? だとしたらお前のおかげだな」

 

「え?」



「俺が変わりたい、誰かを守りたいと思えるようになったのは彩萌に出会ったからだ」

 

薫の入浴準備をしていた手を思わず止める。



「彩萌は俺の我がままを受け入れてくれただろう?」



「瑛さんの我がままって……」



「お前とともにずっと生きていく未来だ」



「そんなの、我がままって言わないわ」



頬が熱くなり、思わず薫の入浴用のタオルを強く握りしめる。



「彩萌を欲したのは俺の人生で最大の我がままだ。お前が受け入れてくれたからこそ、今の俺の幸せな毎日がある。守っていくために努力したいと思うのは当然だろう?」



リビングに置いてあるベビーベッドに薫を下し、瑛さんはゆっくり向き直る。

薫はどこか不思議そうに私たちを見上げている。
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