独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「……返事をくれるか? この指輪をお前にはめたいんだ」


綺麗な二重の目が少し不安そうに揺れている。

今でもたまに見惚れそうになる端正な面差しを、真っ直ぐに見つめ返す。


なにもかも完璧で優秀すぎるこの人に望まれるなんて、夢のようなのに。


私のほうこそ、ずっと一緒にいてとお願いしたい。


伝えたい想いはたくさんあるのに、心が震えてうまく声が出ない。

あふれ出る恋心は、こらえきれなくなった涙とともにこぼれ落ちる。



「彩萌?」



彼が名前を呼んでくれるのが好きだ。

抱きしめてくれる腕も、少し高めの体温も、本当は少し寝起きが悪いところも、なにもかもすべてが愛しい。

出会えたのが幸せなのは、きっと私のほうだ。

 

「……泣くな」



キスで涙を拭ってくれる仕草に、どれだけ心を揺さぶられているか、あなたは知らないでしょう?



「あなたを、愛してる……これからもずっと、一緒にいてください」



必死に押し出した声は掠れている。

けれど彼は鮮やかな笑顔を向けてくれた。

 

ああもう、“愛している”以上の気持ちを表現する言葉はないのだろうか?



私の左手薬指に輝く指輪をはめてくれた彼が、指に口づける。

愛しさと切なさがまざって、涙が止まらない。
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