独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
披露宴後、招待客を見送っても心は休まらない。

この後の出来事を想像するだけで、空っぽの胃がキリキリ痛む。


「……記念すべき初夜、逃げるなよ?」


私の髪飾りを直すふりをした彼が、耳元近くでささやく。

僅かにこめかみに触れた指先に、心が揺れる。

優しい仕草、思いやり深い微笑み、すべては周囲に仲睦まじさを見せつけるための演技。

わかっているのに、往生際の悪い私は夢を見そうになって、ギュッと唇を噛みしめる。

その瞬間、唇に骨ばった長い指が触れた。


「……傷がつくからやめろと何度も言っただろ」


まるで心配するような仕草に、胸が詰まる。

ありえない妄想に、笑い出したくなった。


「お前は俺のものだ。たとえお前自身でも傷つけるのは許さない」


どういう、意味?


答えを求めて長いまつ毛に縁どられた二重の目を見つめると、あからさまに視線を逸らされた。
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