独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
遠くのほうでカチャカチャと食器がぶつかる音が聞こえる。
続いて、ふわりと額に触れる温かな感触。
けれどその温もりはすぐに離れてしまう。
――待って、行かないで!
「……気がついたか?」
手を伸ばした途端、耳に低い男性の声が響いた。
重い瞼をゆっくり持ち上げると、真っ白な高い天井が目に入る。
手に触れるシーツの感触に、自分がベッドに横になっていると知った。
「こ、こは……?」
普通に話したつもりなのに、なぜか声が掠れていた。
頭を動かそうとすると鈍痛がはしる。
「俺の家、俺の寝室だ」
至近距離から聞こえた声に、鼓動が跳ねる。
まさか、と思いつつゆっくり首を動かすと、相変わらず完璧な容姿の瑛さんが、ベッドサイドに腰かけていた。
「気分はどうだ?」
「え、瑛、さん? なんで? 私、だって」
状況がわからず、意味をなさない言葉を発してしまう。
待って、落ち着いて。
今日は買い出しと警察に行こうとしてそれで……。
「お前は本家で倒れて、熱があったからここに運んだ。あんなところにいたら治るものも治らない」
必死に記憶をたどる私に、あっさりと教えてくれる。
そうだ、婚約者と紹介されて……大勢の人に詰め寄られて……。
一気によみがえった記憶に、ひゅっと息を呑んだ。
どんどん血の気が引いていく。
「落ち着け、ここには俺とお前しかいない」
「え……?」
また私の心を読んだかのように、力強く告げる。
同時に額に大きな手が触れる。
もしかして……さっきの優しい感触は瑛さんの手?
続いて、ふわりと額に触れる温かな感触。
けれどその温もりはすぐに離れてしまう。
――待って、行かないで!
「……気がついたか?」
手を伸ばした途端、耳に低い男性の声が響いた。
重い瞼をゆっくり持ち上げると、真っ白な高い天井が目に入る。
手に触れるシーツの感触に、自分がベッドに横になっていると知った。
「こ、こは……?」
普通に話したつもりなのに、なぜか声が掠れていた。
頭を動かそうとすると鈍痛がはしる。
「俺の家、俺の寝室だ」
至近距離から聞こえた声に、鼓動が跳ねる。
まさか、と思いつつゆっくり首を動かすと、相変わらず完璧な容姿の瑛さんが、ベッドサイドに腰かけていた。
「気分はどうだ?」
「え、瑛、さん? なんで? 私、だって」
状況がわからず、意味をなさない言葉を発してしまう。
待って、落ち着いて。
今日は買い出しと警察に行こうとしてそれで……。
「お前は本家で倒れて、熱があったからここに運んだ。あんなところにいたら治るものも治らない」
必死に記憶をたどる私に、あっさりと教えてくれる。
そうだ、婚約者と紹介されて……大勢の人に詰め寄られて……。
一気によみがえった記憶に、ひゅっと息を呑んだ。
どんどん血の気が引いていく。
「落ち着け、ここには俺とお前しかいない」
「え……?」
また私の心を読んだかのように、力強く告げる。
同時に額に大きな手が触れる。
もしかして……さっきの優しい感触は瑛さんの手?