独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「少し、下がったな」



「心配していただいて、すみません。あの、もしかしてずっと看病を……?」



今は何時頃なのだろう? 



大きな窓にはブラインドが下ろされていて、外の状況がわからない。



「……紹介が必要だったとはいえ、ひどい目にあわせて悪かった。医者からは過度のストレスと疲労による発熱と言われている。元々体が疲れていたところに大きな負荷がかかったんだ。無理せず今は休め」



「そう、ですか……ありがとうございます。治療費をお支払いします」



「必要ない。婚約者の看病をするのは当然だ」



きっぱり言い切られ、驚く。



「どうした?」



「いえ、あれだけ反対されたのに……いいのかと」



「あの場にいたのは梁瀬本家の人間と力のある分家の家長たちで、自分たちの利益しか考えていない連中ばかりだ。自身の娘と俺をどうやって結婚させよう、とかな」



とんでもない話に、思わず眉間に皺が寄る。



「お前は俺に守られていればいい」



フッと口元に弧を描いて、私の前髪をそっとかき上げる。

強い口調とは対照的な、優しい触れ方に心が揺れ動く。



……本気で守ろうとしてくれているの? 



一族の大半が反対しているのに?



胸の奥が燃えるように熱い。



泣きたくなるような、胸が痛むような、この感情はなに?



「今は体を治すことだけ、考えろ。なにか食べられそうか?」



問われた瞬間、きゅうっとお腹が小さな音を立てた。



……恥ずかしい!
 


頬が一気に火照る。

羞恥でギュッと目を瞑ると、ポンポンと頭が撫でられた。
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