独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「――彩萌。返事を」



なんで、そんな言い方をするの? 



無理強いしても、私に文句を言う資格はないとわかっているでしょう?



なのに、キスや触れる指も、キツイ言葉とは裏腹にとても優しくて……この人の手を、本気で振り払いたいと思えずにいる。

揺れ動く自分の気持ちが、理解できない。



「答えないなら……抱くぞ」

 

耳元近くで甘く宣言され、背筋に痺れがはしる。

答えの代わりに、彼の首に恐る恐る腕を回す。

ほんの一瞬、瑛さんが体を強張らせたのがわかった。



「……体がつらかったら、言えよ」



抱くと宣言したのに気遣われ、緊張が少しだけほぐれた。

私の体にゆっくと腕を回す。



「あの……シャワーを……」



最低限の希望を、なけなしの勇気を振り絞って伝える。



「必要ない」



「ず、ずっと眠っていて、汗をかいているので!」



「後にしろ。俺は気にしない」


必死の主張はあっさり受け流された。



私は気にすると、どうしたら理解してもらえるの?



「もう、黙れ」



後頭部に大きな手が回され、強引に口づけられる。

激しく荒々しいキスは、最初だけだった。

突如始まった行為に動揺する私をなだめるかのように、優しく髪を撫で、舌先で私の唇をゆっくりたどっていく。



「ふっ……ん」



ほんの少し唇を離した彼が、妖艶な眼差しを向ける。



「可愛いな……」



独り言のように微かにつぶやく。
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