独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「俺の、俺だけのものだ……っ」



掠れた声とともに、私に覆いかぶさる。

広い背中に必死ですがりつくと、強い力で抱きこまれた。

汗ばんだ彼の香りが鼻孔をくすぐる。

部屋の温度はふたりが放つ熱のせいで上昇していく。

私の最奥を暴く彼の目に宿った情炎に、甘く囚われる。

体すべてが支配されてしまうようで怖くなる。



「ふっ……ん」



こぼれ落ちる涙を、唇で何度も拭われる。

形の良い額に張り付く髪を、長い指が緩慢にかき上げる。

仕草ひとつひとつに滲む色香に酔いしれそうになる。

この人に、恋をしているわけではない。

愛されているわけじゃない。

必死で言い聞かせ、ギュッと目を瞑る。



「――彩萌」



耳元近くで名前を呼ばれる。



「目を開けて、俺を見ろ」



艶の含んだ甘い声に体が疼く。

交わりが一層激しくなり、繋がりが深まる。



「えっ……あ……!」



重い瞼を必死に持ち上げると、まるで褒めるかのように柔らかい笑みが返ってきた。

背中に回した私の指を自身のものと絡めて、薄い唇を当てる。

甘い行為に胸がキシリと軋む。



どうして、そんなに優しく抱くの?



「彩萌、お前だけだ……」



真っ白になっていく視界の中で、彼の低い声が聞こえた気がした。
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