独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
肌を重ねて、ほんの少しほぐれかかっていた心が再び硬化していく。



「彩萌の部屋は寝室の右隣、左は俺の書斎だ」



案内された部屋に足を踏み入れる。

八畳ほどのフローリングの部屋には窓がふたつある。

寝室よりも色の薄い木製ブラインドが下ろされていて、全体的に優しい雰囲気の部屋だった。

ひとりがけのソファに小ぶりなドレッサー、さらには大きめのウォークインクローゼットまで備えてある。

ただしベッドはなかった。



「お前が眠る場所は俺と同じ寝室のみだ」


心の内を読んだかのようにさらりと告げられ、傍らに立つ瑛さんを見上げる。

目まぐるしく変化する状況に激しく動揺する私とは対照的に、彼の表情にはなんの動きもない。

しいて言うならば、眉間の皺が少し深くなったのみだ。



この部屋はいつ用意されたの?



もしや、朝霞さんが暮らす場所だった?



頭をよぎる疑問が、胸を深く抉る。



「お前は俺から逃げられない」



感情の読めない冷たい目を向けられ、思わずギュッと拳を握りしめる。

豪華な家具も部屋も、今の私にはまったく嬉しく感じられなかった。
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