独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
5.やっと見つけた~Side瑛~
慌てて駆け込んだダイニングの六人掛けテーブルの上に、紙袋を置く。

はあ、と息を吐き髪をかき上げた。



「……なんで、このタイミングですごく嬉しいとか言うんだ……」



婚約者が放ったひと言に、これほど動揺するとは思わなかった。


初めて出会ったときからそうだった。

当たり前の出来事ひとつひとつに心を動かし、感情を表現する。

相手に自分の考えや思いをきちんと届けようとする。

誠実と言えば聞こえはいいが、ただの不器用とも言える。

けれど、それらは俺が持っていないものだった。



「契約結婚の相手、それだけだったのにな」



強引にここまで漕ぎつけた自覚はある。

引っ越しも強要した。

それなのに、なんであんなに真っ直ぐな笑顔と感謝を向けてくるのか。

心が揺さぶられ、思わず抱きしめたくなる衝動にかられた。

まさか自分がこんな気持ちを抱えるとは思いもしなかった。



「……堪え性がなさすぎだな」



つぶやいた声が、広いダイニングに響いた。
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