独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
私の弱い部分をすでに把握している彼は、容赦なく攻め立ててくる。



「あ……っ」



太ももの内側に唇を落とし、長い指で体の中心に触れてくる。

耳に大きく響く水音が、さらに体を火照らせる。



「本気で……抱き潰したい」



物騒な声が聞こえた瞬間、膝裏を持ち上げられ奥まで貫かれる。

体中に強烈な刺激が駆け巡り、呼吸が止まった気がした。

つま先が無意識に丸まり、すがるように彼の腕を掴む。


何度も繰り返される律動に、むずかるような声を上げると、あやすようなキスが降ってきた。

思いのほか優しい仕草に、胸が切なく疼く。



「彩萌、俺を感じろ……俺だけを……っ」



絞り出すような声が耳に届いた瞬間、目の前がパンッと弾けた気がした。



 
喉の渇きを覚え目が覚めると、まだ周囲は薄暗かった。



「今……何時……?」



声の掠れ具合に驚きつつ身じろぎすると、以前のように裸の瑛さんに背中から抱きすくめられていた。



「……まだ、夜明け前だから寝てろ……」



意外にも返答され、さらにきつく抱き込まれる。



「瑛さん……?」



強い力に抜け出すのを早々にあきらめ、体に巻きつく長い腕に触れる。


よく知らない、勝手気ままな婚約者。

それなのに……この人の体温を心地よいと感じる。

睦言も全部契約上のものだから、信じてはいけないとわかっているのに。



ねえ、なぜ抱きしめて眠るの? 



なにかを期待しそうになる自分を戒めるようにきつく瞼を閉じた。
< 68 / 174 >

この作品をシェア

pagetop