独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「彩萌」


背後から呼ばれ、反射的に振り返る。

濡れた長めの黒髪を後ろに流し、バスローブを羽織った彼の色気は凄まじく、思わず見惚れている間にあっさり距離を詰められる。


「……抱くぞ」


簡潔に告げられ、ふわりと足が浮く。

横抱きにされ、慌てて瑛さんの襟元を掴む。


「あ、歩けます」


「お前はこの期に及んで逃げそうだからな」


答えになっていない答えを返される。

足早に寝室に連れ込まれ、ゆっくりとシーツの上に寝かされた。

ドキドキと高鳴る鼓動がうるさい。

手の甲でゆっくりと私の頬に触れる、優しい仕草に胸が詰まる。


「……長い一日だったな」


耳を唇で弄びながら、私の体を自身の硬い体で囲い込む。

首筋を甘噛みされ、ビクンと肩が跳ねた。


「相変わらず敏感だな」


私の反応を楽しむかのように、ククッと声を漏らす。

目尻、頬、顎先に唇で触れ、最後に呼吸さえ奪うような激しい口づけをされる。


「……んっ……ふう……」


思わず漏れた声が長いキスに吞み込まれ、視界が滲む。

彼のキスは私の心や思考をいつも簡単に蕩けさせてしまう。
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