独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
迎えた土曜日は、久しぶりの晴れ間が広がっていた。
昼前に、彼の運転する車で結婚式会場でもあるホテルに向かう。
各界の要人や有名芸能人などにもよく利用されている豪華なホテルは、足を踏み入れるだけで緊張する。
「あら、瑛さん!」
どこか聞き覚えのある声に振り向くと、五十代くらいの和装の女性と二十代前半くらいのワンピース姿の女性が立っていた。
「……時芝さん、こんにちは」
淡々と挨拶する彼に和装女性は朗らかに話しかける。
瑛さんがするりと私の腰に長い腕を回した。
「まあ、偶然ね。日菜子とランチに来たのだけど、よかったら一緒にいかがかしら?」
「ぜひ、瑛さん!」
日菜子、と呼ばれた女性は嬉しそうに頬を緩める。
「いえ、結婚式の衣装合わせがありますので失礼します。行こう、彩萌」
「衣装って……本気でその方と結婚なさるつもりなの?」
先ほどまでの物腰の柔らかさを消した女性が、私を厳しく見据える。
その表情に初めて本家に伺った際、ひと際不満を漏らしていた人だと思い出した。
「ええ、もちろんです」
「でもそちらの方には本家の妻なんて荷が重いのでは? しきたりもなにもご存知ないでしょう? すでに身に着けている女性を選んだほうがお互いのためになると思いますのよ」
正論だと言わんばかりの態度に驚く。
しかも私の名前を一切呼ぼうとしない。
昼前に、彼の運転する車で結婚式会場でもあるホテルに向かう。
各界の要人や有名芸能人などにもよく利用されている豪華なホテルは、足を踏み入れるだけで緊張する。
「あら、瑛さん!」
どこか聞き覚えのある声に振り向くと、五十代くらいの和装の女性と二十代前半くらいのワンピース姿の女性が立っていた。
「……時芝さん、こんにちは」
淡々と挨拶する彼に和装女性は朗らかに話しかける。
瑛さんがするりと私の腰に長い腕を回した。
「まあ、偶然ね。日菜子とランチに来たのだけど、よかったら一緒にいかがかしら?」
「ぜひ、瑛さん!」
日菜子、と呼ばれた女性は嬉しそうに頬を緩める。
「いえ、結婚式の衣装合わせがありますので失礼します。行こう、彩萌」
「衣装って……本気でその方と結婚なさるつもりなの?」
先ほどまでの物腰の柔らかさを消した女性が、私を厳しく見据える。
その表情に初めて本家に伺った際、ひと際不満を漏らしていた人だと思い出した。
「ええ、もちろんです」
「でもそちらの方には本家の妻なんて荷が重いのでは? しきたりもなにもご存知ないでしょう? すでに身に着けている女性を選んだほうがお互いのためになると思いますのよ」
正論だと言わんばかりの態度に驚く。
しかも私の名前を一切呼ぼうとしない。