独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
『ご、ごめんなさい……私』



『お前が気にする必要はない』



そう言って、小さく息を吐く。



まさか会社の経営にまで影響を及ぼすなんて……。



これが財閥という世界なの?


改めて梁瀬家に嫁ぐという重大さを実感し、血の気が引く。



話を聞いた日から数日が経った。

余計な真似はするなと釘を刺されていたが、自分が元凶なのに知らんふりはできない。

自宅に帰り、転籍を芙美に伝えた際に、大口顧客について尋ねた。

ちなみに今夜瑛さんは、急な接待で帰りは遅くなる予定だ。



『――そうなのよ、突然の事態に役員も驚いて対応しているみたい。でも、取引中止ではないらしいわ』



取引条件の見直しなどに今、取り組んでいるところだという。



『今まで曖昧になっていた部分を、話し合って書面に残すのが見直しの主旨みたいよ』



「そうなんだ……」



親友の情報に少し安堵する。

もう子会社社員でなく、なんの力も持たない私が内部情報を知るべきではないだろうが、今は非常事態だからと自分に言い聞かせる。
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