独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
順番にメッセージを読んでいると、スマートフォンが着信を告げる。

液晶画面に示された彼の名前に、急いで通話をタップする。



「は、はい」

 

『彩萌、今どこにいる!? なにかあったのか? 無事か?』



いつもとは違う、焦りを含んだ声に驚く。

心配してくれている様子に胸が詰まった。

 

「だ、大丈夫。ごめんなさい、電源を切っていたのでメッセージを読んでいなくて」



『無事ならよかった……なんで電源を切ってたんだ?』



鋭い切り返しに、息を呑んだ。



待って、どうしよう。



思わず口にしてしまった、自分の軽率さを呪いたくなる。



『彩萌、今、どこだ?』



ゆっくりと、でも確実に聞き出すまであきらめないといった口調に、ギュッと目を瞑る。



「梁瀬さーん、梁瀬彩萌さん、いらっしゃいますか?」



入り口の自動ドアが開き、看護師が名前を呼びながら出てきた。

急いで手を振り返事をする。



「ああ、お電話中でした? ごめんなさい。あと三番目くらいなので中でお待ちくださいね」



にこやかに話しかけられ、再び返答した。



『……彩萌? なにが三番目なんだ?』



やはり、聞こえていたようだ。



「あの、今、病院にいて」



『は? なんでだ? 具合が悪いのか? どうしたんだ、大丈夫か?』
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