【砂の城】インド未来幻想
またそうした中には以前寵姫選良披露に出場して、結局選ばれずに戻ってきた女性も数多く見受けられた。選別期間、砂の城での生活を望むが故に、自ら操を捧げてしまう少女は後を絶たなかった。そのため今でも未婚者が多いのは、貞節を重んじるこの国ならではだ。けれど彼女達は自己の不幸を不幸とも思わず、口を揃えて城の煌びやかな生活を語った。「シャニ様に、私は元気ですと伝えて」――それだけの為に、彼女達は自分達の「後輩」を激励し手を振るのだった。
「それでは……そろそろ」
先頭に立つ馬に乗った侍従が、ヴァーラーナスィーの方角へ顔を向ける。シュリーとナーギニーを乗せたラクダは従者にそれぞれ手綱を引かれ、二人を砂の城へとゆっくりとした歩みで導き出した。その後ろには荷を積んだラクダが数頭繋がれている。
「気を付けてね、ナーギニー。頑張るのよ!」
母親の叫びに娘は振り返り、弱々しく手を振ってみせた。
「それでは……そろそろ」
先頭に立つ馬に乗った侍従が、ヴァーラーナスィーの方角へ顔を向ける。シュリーとナーギニーを乗せたラクダは従者にそれぞれ手綱を引かれ、二人を砂の城へとゆっくりとした歩みで導き出した。その後ろには荷を積んだラクダが数頭繋がれている。
「気を付けてね、ナーギニー。頑張るのよ!」
母親の叫びに娘は振り返り、弱々しく手を振ってみせた。