【砂の城】インド未来幻想
お互いの手を繋いだままゆっくりとゆっくりと、力強く砂の地面を踏み締める。けれどそれが使者に到達する前に、二つの銃口が少女達に向けられ、二人の使者の声が同時に響いた。
「「通行証を」」
感情の見当たらない文言は、少女達の歩みを途端に止めた。
通行証とはシャニ直筆の入域許可証である。二人は祭りの最終日、入賞祝いの言葉を述べられた際に直接与えられた。これがなければ砂の城直轄地には入れない。慌てて荷に突っ込んだシュリーの手はしかし、その通行証に触れた瞬間戦慄した。
「ナーギニー……あなた……」
ハッと我に返った顔は既に血の気が引いている。そしてそれは目の前のナーギニーも同じだった。立ち尽くし、両手を震える唇に添わせたナーギニーの困惑の瞳は彩りを失っていた。
「私……自分の荷物の中に……私、どうしたら……」
「落ち着いて、ナーギニー。きっと良い方法があるわ」
僅かに使者達へ背中を向け、自分の通行証をそっと取り出したシュリーは、薄い羊皮紙のそれを見下ろし考えを巡らせた。ややあってクルクルと丸め、少女のたおやかな手に無理矢理握らせる。ナーギニーはその行為に益々顔を蒼褪めさせたが、シュリーの表情はもう穏やかなものに戻っていた。
「「通行証を」」
感情の見当たらない文言は、少女達の歩みを途端に止めた。
通行証とはシャニ直筆の入域許可証である。二人は祭りの最終日、入賞祝いの言葉を述べられた際に直接与えられた。これがなければ砂の城直轄地には入れない。慌てて荷に突っ込んだシュリーの手はしかし、その通行証に触れた瞬間戦慄した。
「ナーギニー……あなた……」
ハッと我に返った顔は既に血の気が引いている。そしてそれは目の前のナーギニーも同じだった。立ち尽くし、両手を震える唇に添わせたナーギニーの困惑の瞳は彩りを失っていた。
「私……自分の荷物の中に……私、どうしたら……」
「落ち着いて、ナーギニー。きっと良い方法があるわ」
僅かに使者達へ背中を向け、自分の通行証をそっと取り出したシュリーは、薄い羊皮紙のそれを見下ろし考えを巡らせた。ややあってクルクルと丸め、少女のたおやかな手に無理矢理握らせる。ナーギニーはその行為に益々顔を蒼褪めさせたが、シュリーの表情はもう穏やかなものに戻っていた。