【砂の城】インド未来幻想
「通行証なんて入城する為だけで、あとはただの紙っぺらよ。此処までの長い旅、しっかりやってこられたのだから大丈夫。それじゃ行ってちょうだい」
落ち着きを取り戻したナーギニーは、それでもまだ揺らぎの止まらない手で懐からマントを取り出した。シュリーはそれを自分の荷へさっと移し、少女の細い背を撫でた。使者へ向け彼女を押し出したシュリーは、あたかもナーギニーがシュリーであるかのように見せかけ、背後につき従う。眼前で通行証が広げられ、使者が確認と同時に銃口を地へ下げたので、低姿勢を保ったまま今までの経緯を語り出した。
「実はこちら様の御一行、ドールに襲われまして、そんな矢先に通りすがったわたくしめが、このお嬢様のみお助けすることが出来たのでございます。残念ながら他の方々は喰い殺されてしまわれました。厚かましくも此処まで案内をさせていただきましたが……わたくしめの役目は終えましたので、これにて失礼を致します」
と丁重な言葉で嘯いて、深く一礼をし去ろうとした。
「大変お世話に……なりました」
ナーギニーも何とか会話を取り繕おうと、掠れた声で別れの挨拶を交わす。二人の使者は「シュリーであるナーギニー」を引き取り、後ろの『箱』へ促した。が、去りゆくシュリーの遠くなる姿へ再び銃を向け、刹那ナーギニーの叫び声と鋭い銃声が木霊した。
落ち着きを取り戻したナーギニーは、それでもまだ揺らぎの止まらない手で懐からマントを取り出した。シュリーはそれを自分の荷へさっと移し、少女の細い背を撫でた。使者へ向け彼女を押し出したシュリーは、あたかもナーギニーがシュリーであるかのように見せかけ、背後につき従う。眼前で通行証が広げられ、使者が確認と同時に銃口を地へ下げたので、低姿勢を保ったまま今までの経緯を語り出した。
「実はこちら様の御一行、ドールに襲われまして、そんな矢先に通りすがったわたくしめが、このお嬢様のみお助けすることが出来たのでございます。残念ながら他の方々は喰い殺されてしまわれました。厚かましくも此処まで案内をさせていただきましたが……わたくしめの役目は終えましたので、これにて失礼を致します」
と丁重な言葉で嘯いて、深く一礼をし去ろうとした。
「大変お世話に……なりました」
ナーギニーも何とか会話を取り繕おうと、掠れた声で別れの挨拶を交わす。二人の使者は「シュリーであるナーギニー」を引き取り、後ろの『箱』へ促した。が、去りゆくシュリーの遠くなる姿へ再び銃を向け、刹那ナーギニーの叫び声と鋭い銃声が木霊した。