【砂の城】インド未来幻想
やがて目前と化した宮殿を見上げた。夕闇に包まれた白大理石は、脳裏に遺されたあの夜のタージ=マハルとクロスし、途端胸が高鳴り出した。青年と出逢ったあの夜――。
基壇への階段を上り、宮殿の入口を飾るアラビア語のコーランを刻んだ象嵌の下、内部へ誘う開放されて「いるべき」空間には、本来ある筈のない大きな扉が立ちはだかっていた。植物を象った繊細な浮彫細工と、全てを映してしまいそうに磨き上げられた滑らかな壁面、しかして奇妙な呼び鈴の音が聞こえる。僅かにきしむ音を立てながら、ゆっくりと迫りくる扉に身を退けたナーギニーは、墓廟の中に違う世界を見た。いや、此処は「墓」などではないのだ。絢爛豪華な宮殿の中身は、シャニの為だけに存在する選ばれし娘達の「後宮」だった――。
◆以降は2015年に(他サイトにて)連載していた際の後書きです。
いつもお付き合いを誠に有難うございます!
今話文末のタージ=マハルは、無料使用OK画像から頂いた物に、黄昏らしい加工を施してみました。さすがに綺麗な写真です♪
基壇への階段を上り、宮殿の入口を飾るアラビア語のコーランを刻んだ象嵌の下、内部へ誘う開放されて「いるべき」空間には、本来ある筈のない大きな扉が立ちはだかっていた。植物を象った繊細な浮彫細工と、全てを映してしまいそうに磨き上げられた滑らかな壁面、しかして奇妙な呼び鈴の音が聞こえる。僅かにきしむ音を立てながら、ゆっくりと迫りくる扉に身を退けたナーギニーは、墓廟の中に違う世界を見た。いや、此処は「墓」などではないのだ。絢爛豪華な宮殿の中身は、シャニの為だけに存在する選ばれし娘達の「後宮」だった――。
◆以降は2015年に(他サイトにて)連載していた際の後書きです。
いつもお付き合いを誠に有難うございます!
今話文末のタージ=マハルは、無料使用OK画像から頂いた物に、黄昏らしい加工を施してみました。さすがに綺麗な写真です♪