【砂の城】インド未来幻想
「さて……お嬢様方、大変無礼をしてしまったが……紹介をしよう」
突然現れた美しい青年に、少女達は多少の興味は抱いたものの、さすがに王を目の前に色めき立つことなど有り得なかった。そんな沈黙をシャニが打ち破る。どうして寵姫候補の少女達の中へシヴァが招かれたのか? 彼は一体何者なのか――心臓の高鳴りが徐々に大きくなり、雑音が思考を妨害する。ナーギニーは見えない膝の上で両手を握り締め、シャニが再び口を開くのを待ち侘びた。
「名はイシャーナという……まだまだ不肖者でお恥ずかしいが――私の『息子』だ」
再び時が止まった気がした。目線の先のスープが揺らぐ。それは驚いた少女達がテーブルを震わせたのか、自分の眼が潤んだのか……ナーギニーには判断出来なかった。
「さて……食事を始めよう」
その開始の声の前に、シヴァが――イシャーナが立ち上がり、少女達に優雅な礼を捧げたのが幽かに目に入った。再び腰掛け、シャニのリードの許、騒めきを含んだままの和やかな昼食が始まった。
イシャーナ=クルーラローチャナ。シャニは自分の『息子』と言った。それは真実なのだろうか? 二人に共通するものなど、何一つ見出すことは出来ない。
突然現れた美しい青年に、少女達は多少の興味は抱いたものの、さすがに王を目の前に色めき立つことなど有り得なかった。そんな沈黙をシャニが打ち破る。どうして寵姫候補の少女達の中へシヴァが招かれたのか? 彼は一体何者なのか――心臓の高鳴りが徐々に大きくなり、雑音が思考を妨害する。ナーギニーは見えない膝の上で両手を握り締め、シャニが再び口を開くのを待ち侘びた。
「名はイシャーナという……まだまだ不肖者でお恥ずかしいが――私の『息子』だ」
再び時が止まった気がした。目線の先のスープが揺らぐ。それは驚いた少女達がテーブルを震わせたのか、自分の眼が潤んだのか……ナーギニーには判断出来なかった。
「さて……食事を始めよう」
その開始の声の前に、シヴァが――イシャーナが立ち上がり、少女達に優雅な礼を捧げたのが幽かに目に入った。再び腰掛け、シャニのリードの許、騒めきを含んだままの和やかな昼食が始まった。
イシャーナ=クルーラローチャナ。シャニは自分の『息子』と言った。それは真実なのだろうか? 二人に共通するものなど、何一つ見出すことは出来ない。