【砂の城】インド未来幻想
「良かった」
「……え?」
ふと聞こえてきた安堵の言葉に、俯き始めていたナーギニーの頭は一気に持ち上げられた。
「夜中にお腹が空くなんて……元気な証拠だわ!」
「あっ……――!」
同時に立ち上げた侍女の顔がニッと笑い、その懐かしい笑顔にナーギニーは驚きの声を上げてしまった。艶のある紅茶色の肌に、色気を含んだ厚めの唇、そして嬉しそうに細められた黒い瞳を飾る長い睫の美貌は――
「あ、あぁ……シュリー……!!」
ナーギニーは叫ぶや駆け出し、迎えるように広げられた両腕の中へ導かれていった。きつく抱き締めた力と同じ強さで受け止められて、その肌の温かさにこれは夢でも幻でもないのだと、心の芯から感じることが出来た。
「遅くなってごめんなさいね。さすがにそう簡単には入国出来なくて……今言った通り、ちゃんと食べていたのよね? ナーギニー」
「うん、うん」と泣きながら呟き、また泣き出してしまう。呼ばれた自分の名は、誰からの声よりも心地良く思えた。後ろ髪を撫でるシュリーの手が、いつまでも止まらぬことに嬉しさが溢れた。
「……え?」
ふと聞こえてきた安堵の言葉に、俯き始めていたナーギニーの頭は一気に持ち上げられた。
「夜中にお腹が空くなんて……元気な証拠だわ!」
「あっ……――!」
同時に立ち上げた侍女の顔がニッと笑い、その懐かしい笑顔にナーギニーは驚きの声を上げてしまった。艶のある紅茶色の肌に、色気を含んだ厚めの唇、そして嬉しそうに細められた黒い瞳を飾る長い睫の美貌は――
「あ、あぁ……シュリー……!!」
ナーギニーは叫ぶや駆け出し、迎えるように広げられた両腕の中へ導かれていった。きつく抱き締めた力と同じ強さで受け止められて、その肌の温かさにこれは夢でも幻でもないのだと、心の芯から感じることが出来た。
「遅くなってごめんなさいね。さすがにそう簡単には入国出来なくて……今言った通り、ちゃんと食べていたのよね? ナーギニー」
「うん、うん」と泣きながら呟き、また泣き出してしまう。呼ばれた自分の名は、誰からの声よりも心地良く思えた。後ろ髪を撫でるシュリーの手が、いつまでも止まらぬことに嬉しさが溢れた。