【砂の城】インド未来幻想
「あなたを此処へ連れてきた使者達を覚えているわね? 彼らは貸してもらったマントと同じ物を纏っていて、ターバンを巻いて、その裾を口元まで覆うように巻きつけていたでしょ? あれが功を奏したわ。街でターバンを買って、同じ様相に扮したの。そうして昨日ついに似たような集団を見つけた時には、本当にツイていると思ったわ。だけど紛れても誰も気付かないのだから全く変な人達ね! まぁお陰で此処まで容易に連れてきてもらえた訳ではあるけれど。その後はこの格好からご想像の通りよ。侍女に変装して宮殿に潜入したの……これで全てかしら? どう? わたしもなかなかやるもんでしょ!?」
いつになくおどけた口調と笑顔で、とうとうシュリーは最後までの経緯を話し終えた。けれどそんなに上手く事が運ぶことなどあるのだろうか? それでもその手段など気にする気持ちは不要だった。こうして目の前にシュリーが居る、自分を見つめて微笑んでいる――それだけでもうナーギニーには、何も要らないと思える程の柔らかな幸せに抱かれていた。
いつになくおどけた口調と笑顔で、とうとうシュリーは最後までの経緯を話し終えた。けれどそんなに上手く事が運ぶことなどあるのだろうか? それでもその手段など気にする気持ちは不要だった。こうして目の前にシュリーが居る、自分を見つめて微笑んでいる――それだけでもうナーギニーには、何も要らないと思える程の柔らかな幸せに抱かれていた。