【砂の城】インド未来幻想
昨夜哀しく溜息を零したことなど、忘れてしまうくらいの嬉しさが駆け巡った。ただこの指輪を戴くことには、やや戸惑いを感じてしまう。このように高価な品をどうしたら良いものなのか……指に嵌めることもためらわれ、ナーギニーはひとまず封筒の中に、手紙と共に指輪をしまい込んだ。今日の為に用意された薄紫のパンジャビ・ドレスには、右胸にポケットが縫われている。とりあえず其処に収めて、大切そうに布の上から手を当て、ナーギニーは感謝の言葉を何度も唇に乗せた。
残念ながら三日目の昼食会にも、イシャーナが現れることはなかった。侍女として働くシュリーも給仕係にならなかったのは、シャニに顔を知られているからに違いない。
三十分程度の休憩の後、降りてきた王宮の基壇傍から少女達はゾウに乗せられた。定員は一頭につき各四名。大きく華やかな鞍が設えられており、その手前ゾウの首の上には、それぞれのゾウ使いが跨っている。操御杖により大人しく待たされているゾウではあるが、どの街にもこれほど大きな動物を養える力はないのだろう、初めて見た巨大な姿に少女達は怯え、全員が乗るにはなかなかの時間が掛かった。
残念ながら三日目の昼食会にも、イシャーナが現れることはなかった。侍女として働くシュリーも給仕係にならなかったのは、シャニに顔を知られているからに違いない。
三十分程度の休憩の後、降りてきた王宮の基壇傍から少女達はゾウに乗せられた。定員は一頭につき各四名。大きく華やかな鞍が設えられており、その手前ゾウの首の上には、それぞれのゾウ使いが跨っている。操御杖により大人しく待たされているゾウではあるが、どの街にもこれほど大きな動物を養える力はないのだろう、初めて見た巨大な姿に少女達は怯え、全員が乗るにはなかなかの時間が掛かった。