【砂の城】インド未来幻想
「……素敵なプレゼントを戴いたのね」

 それから十五分程してシュリーも約束通り現れた。だが、夕食前の隠しきれない幸せが、既に落ち着いてしまったナーギニーの様子に、彼女はからかうような言葉はぶつけなかった。指輪と首飾りの渡された経緯だけを聞き、やや(かげ)りのある少女の面差しについては、敢えて問い(ただ)すことはやめていた。

「ジャスミンとサファイアには、どちらにも同じ意味があるのを知っていて?」

「え?」

 テーブルに並べられた白い花と碧い宝石、二つを優しく手に取ったシュリーは、温かな笑顔で隣のナーギニーを目に映した。

「『変わらぬ愛』……その(あかし)を、イシャーナ様はあなたに捧げた……これがどういう意味を表しているのか……今のあなたならもう分かるのでしょ?」

「……あ……」


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