【砂の城】インド未来幻想
アムラ摘みを終え、いつもの如く黒宮上階へ移動する。侍女に連れ立たれた宴の席は、初回に坐する筈であった王の斜め隣り、最もシャニに近いあの場所であった。そして――
「……こんにちは。アムラは沢山採れましたか?」
腰掛けた途端に正面より流れくる優しい声音。鼓動が一度だけ強く波打ち、ナーギニーの瞳は長い睫を瞬かせながら上げられた。目の前には微かに戸惑いを示した、あの麗しき微笑みがあった。
「は、はい……お借りした籠に入れられないほど……」
刹那に頬を赤らめて、再び視線を下げてしまう。まだシャニが席に着いていないとはいえ、他の少女達に気取られる訳にはいかなかった。
「全員揃ったね? では本日は沢山の収穫を祝って乾杯といこう」
シャニは毎度の如く紅の液体を掲げ、少女達も琥珀色のグラスを揺らした。どうして今回はイシャーナも招かれたのか――困惑を隠す唇は、なかなか食事を喉に運んではくれなかった。
「ナーギニー、君は余り外出をしていないようだが、部屋ではどのように過ごしているのかね?」
以前のように名指しで投げられた質問に、刹那手元が止められた。それでも一息を呑み、ナーギニーは王へ姿勢を正した。
「お部屋にご用意いただきました裁縫道具で、刺繍をさせていただいております。それから舞踊の練習を……」
「……こんにちは。アムラは沢山採れましたか?」
腰掛けた途端に正面より流れくる優しい声音。鼓動が一度だけ強く波打ち、ナーギニーの瞳は長い睫を瞬かせながら上げられた。目の前には微かに戸惑いを示した、あの麗しき微笑みがあった。
「は、はい……お借りした籠に入れられないほど……」
刹那に頬を赤らめて、再び視線を下げてしまう。まだシャニが席に着いていないとはいえ、他の少女達に気取られる訳にはいかなかった。
「全員揃ったね? では本日は沢山の収穫を祝って乾杯といこう」
シャニは毎度の如く紅の液体を掲げ、少女達も琥珀色のグラスを揺らした。どうして今回はイシャーナも招かれたのか――困惑を隠す唇は、なかなか食事を喉に運んではくれなかった。
「ナーギニー、君は余り外出をしていないようだが、部屋ではどのように過ごしているのかね?」
以前のように名指しで投げられた質問に、刹那手元が止められた。それでも一息を呑み、ナーギニーは王へ姿勢を正した。
「お部屋にご用意いただきました裁縫道具で、刺繍をさせていただいております。それから舞踊の練習を……」