【砂の城】インド未来幻想
「有り難き幸せ。美しい姫よ」
ニィと口角を上げた王の顔が前傾し、ナーギニーの右手に近付いてきた。生温かい吐息が吹きかかり、思わず瞼を瞑ってしまう。次に軟体動物のような湿った皮膚が、ついにそろりと押しつけられた。途端、触れた部分から発生した電流のような痺れが、放射状に放たれ全身を駆け巡る。自由な左手をグッと握り締めたその時――抑え切れない内からの痙攣は、彼女の奥底から何かを引き出してきた。この感触は……ずっと昔に知ったことのある記憶だと――!
「あ……あぁ……」
長い接吻がようやく離れ、ナーギニーは目を見開き、苦しそうな声を洩らした。
「ナーギニー……いや、『・・・・・・・・』……。私の眼を見なさい」
頭上からの命令口調に、そうしたい気持ちは存在せずとも、身体が従おうと首を反らした。視界には王の嬉しそうな口元が、そして大きな鼻先が、そして――
ニィと口角を上げた王の顔が前傾し、ナーギニーの右手に近付いてきた。生温かい吐息が吹きかかり、思わず瞼を瞑ってしまう。次に軟体動物のような湿った皮膚が、ついにそろりと押しつけられた。途端、触れた部分から発生した電流のような痺れが、放射状に放たれ全身を駆け巡る。自由な左手をグッと握り締めたその時――抑え切れない内からの痙攣は、彼女の奥底から何かを引き出してきた。この感触は……ずっと昔に知ったことのある記憶だと――!
「あ……あぁ……」
長い接吻がようやく離れ、ナーギニーは目を見開き、苦しそうな声を洩らした。
「ナーギニー……いや、『・・・・・・・・』……。私の眼を見なさい」
頭上からの命令口調に、そうしたい気持ちは存在せずとも、身体が従おうと首を反らした。視界には王の嬉しそうな口元が、そして大きな鼻先が、そして――