【砂の城】インド未来幻想
「健闘を祈っているわね。こちらこそ此処まで付き添ってくれてありがとう。あなたは地上に出ないで、明日まで身を隠した方がいいわ。待っていてくれたら食事を運んできてあげる。シャニはとても抜け目がない……これまであなたを自由にしてきたのは、自我を持ったままのあなたの前で、ナーギニーを手に入れたかったから――ただそれだけよ。苦しみ悔やむあなたを見たかっただけ……でも全てを思い出せば、あなたはきっと……――と、少しお喋りが過ぎたわね。ナーギニーが部屋に戻ったことは、別の侍女を通してシャニに知らせるわ。わたしもそろそろ素性が割れてしまいそうだから、同じように監視の目から離れるけれど」
シュリーは一息にそう告げて、眠ったままのナーギニーを受け取った。腕を肩に回させ、数段の石積みを登り始めたシュリーの背へ、イシャーナは最後に声を掛けた。
「ありがとう、シュリー。ナーギニーの為に……僕達の為に」
軽く床板を上げたところで、光差し込むシュリーの面が微笑む。
「いいえ。わたしはこの子の親友であるのだから……当然よ。だからお願い。必ずこの子を幸せにしてあげて」
振り向きざま頬に陰を纏った彼女に、イシャーナは大きく頷いた。
シュリーは一息にそう告げて、眠ったままのナーギニーを受け取った。腕を肩に回させ、数段の石積みを登り始めたシュリーの背へ、イシャーナは最後に声を掛けた。
「ありがとう、シュリー。ナーギニーの為に……僕達の為に」
軽く床板を上げたところで、光差し込むシュリーの面が微笑む。
「いいえ。わたしはこの子の親友であるのだから……当然よ。だからお願い。必ずこの子を幸せにしてあげて」
振り向きざま頬に陰を纏った彼女に、イシャーナは大きく頷いた。